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ー不動産の税金をやさしく解説|購入・保有・売却・相続の基礎ー

不動産の税金の全体像

不動産に関わる税金は「購入・保有・売却・相続(贈与)・賃貸運用」の5局面で性質が異なります。まずは全体の流れを押さえると、どのタイミングで何が発生し、どこを見直せば負担を抑えられるかが見えてきます。以下では初心者の方にも分かりやすく、よく使う用語と注意点を整理します。

購入時の税金

購入時は一度きりの支払いが中心です。新築・中古、個人間取引か業者かで税目や税率が変わる点がポイントです。
・消費税:課税対象は建物部分。土地は非課税。個人間の売買は非課税が一般的です。
・印紙税:売買契約書に貼付。契約金額で税額が変わります。
・登録免許税:所有権移転や抵当権設定の登記で必要。課税標準や軽減の有無を要確認。
・不動産取得税:取得後に都道府県から納付書が届く一度課税。新築住宅・認定長期優良住宅等は軽減の可能性。

保有時の税金

毎年のランニングコストに当たるのが固定資産税・都市計画税です。評価替えや住宅用地の特例で負担が変わるため、明細を読み解けるとムダが見つかります。
・固定資産税:市町村が課税。土地・家屋の評価額に税率を乗じて算定。
・都市計画税:都市計画区域内のみ。固定資産税と同時に課税されることが多い。
・住宅用地特例:小規模住宅用地等は課税標準が大幅に軽減されます。利用状況が変わった場合は届出を。

売却時の税金

売却益が出たときは譲渡所得に対して所得税・住民税が課されます。保有期間で税率が変わるほか、マイホーム特例の有無が実効税率を左右します。
・課税方法:譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)−各種特別控除。
・保有期間区分:5年を超えると長期譲渡。短期より税率が低くなります。
・居住用3000万円特別控除:一定要件で適用可。同一年で他特例と併用制限があるため事前確認が安心。
・損失が出た場合:特定の条件で損益通算や繰越控除が利用できることがあります。

賃貸運用時の税金

家賃収入は「不動産所得」として申告します。黒字・赤字に関わらず帳簿付けと経費計上の精度が節税の要です。
・必要経費:管理委託料、修繕費、火災保険料、減価償却費、ローン利息など。
・青色申告:要件を満たせば特別控除や赤字の繰越が可能。複式簿記と保存義務に注意。
・消費税:住宅の居住用賃貸は非課税。駐車場のみ貸しなどは課税対象になる場合があります。

相続・贈与時の税金

相続・贈与は評価方法と特例の理解がカギです。基礎控除や小規模宅地等の特例を適切に使えるかで負担は大きく変わります。
・相続税:基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人」。現金納付が原則のため納税資金計画が重要。
・評価:土地は路線価等、家屋は固定資産税評価額が目安。借地・貸家は評価減の考え方あり。
・小規模宅地等の特例:自宅や事業用地は一定要件で評価を大幅に減額可能。
・贈与税:暦年課税と相続時精算課税の選択により将来の相続税も変動。生前贈与はトータルで設計。

よくある疑問と実務でのつまずき

ここからは実務で相談の多いテーマを3つ取り上げ、考え方の順序を示します。制度は毎年のように細部が更新されるため、公式資料での確認を前提に、判断の軸を持つことが大切です。

節税と脱税の線引き

節税は法の予定する選択を活用すること、脱税は意図的な隠蔽です。領収書・契約書・見積の整合性を保ち、適正な評価・計上を徹底しましょう。迷う項目は注記を付し、第三者に説明できる記録を残すと安心です。

税金の支払い時期とキャッシュフロー

購入時の一時金、翌年に来る不動産取得税、毎年の固定資産税、売却時の申告納税など、時期がズレてやって来ます。年間の資金繰り表に税金行を設け、納付月と概算額を入れておくと、突発的な出費を回避できます。

専門家へ相談するタイミング

「買う前・売る前・相続が発生する前」が鉄則です。契約条件や持ち方(個人か法人か)、登記の方法で税負担が変わることがあるため、事前に試算して意思決定するのが最短ルートになります。

今日からできるチェックリスト

ここまでの内容を踏まえ、ムダな負担や申告漏れを防ぐための実務チェックを簡単にまとめます。紙でもExcelでも構いませんが、毎年同じ様式で更新すると抜け漏れが減ります。
・固定資産税の明細で住宅用地特例の適用有無を確認
・登記内容(持分、抵当権)の最新化を確認
・賃貸物件の修繕履歴と見積書・請求書の保管
・売却予定があれば取得費資料の所在を洗い出し
・相続に備え、評価対象物件と納税資金のあたりを付ける

まとめ

不動産の税金は局面ごとにルールが違いますが、全体を地図のように俯瞰し、事前に準備すれば過度に恐れる必要はありません。購入前の見積精査、保有中の明細確認、売却前の特例検討、相続前の資金計画—この4点を押さえるだけでも成果は出ます。最後は最新の制度と個別事情に照らして、信頼できる専門家と一緒に最適解を選んでいきましょう。

2025.10.17